KAI法律事務所-困ったときに頼れる弁護士、困らないようにトラブル防止を提案する弁護士

労務問題!こんなところに意外な落とし穴が!

企業経営において、意外と侮れないのが内部のリスクです。中でも社員とのトラブルは、一つ間違えると命取りになりかねません。
法律のルールをきちんと把握した上で、適切な対応が必要です。
ここでは、当事務所に寄せられる主なケースのリスクと対応方法を記載しています。

賃金コストが高まり経営に支障がでてきたのでなんとかしたい

労働契約も労働者と使用者の合意によって成立しているので、両者が合意しなければ賃金を減額するなどの契約変更はできないのが原則です。就業規則で、賃金に関する規定を一方的に変更しても、その変更に合理性がなければ、その変更に反対する労働者を拘束しないというが判例の立場です。合理性の有無は、会社ごとの事情にもよりますので、弁護士に相談することが必要です

業績が不振なので、法的なトラブルにならないようなリストラをしたい

業績が不振だからといって例えばいきなり労働者を解雇することはできません。このような場合に解雇(整理解雇)が認められるためには、?経営上の必要性?整理解雇選択の必要性?被解雇者選択の妥当性?手続きの相当性などが必要となります。その判断は会社ごとに異なりますので、弁護士に相談することが必要です。

成績不振の社員を解雇したい

原則として成績不振だからといって指導教育等会社としてなすべきことをしていないと解雇はできません。会社としてなすべきことは会社ごとに異なりますし、例外もありますので、弁護士に相談することが必要です。

社員を配置転換・出向または転籍させたい

社員を配置転換・出向させるには、就業規則上の根拠があるだけでは不十分です。配置転換・出向の必要性が要求されます。また、配置転換・出向によって労働者に著しい不利益が生じる等の場合は配置転換命令・出向命令が権利濫用となる可能性があります。また転籍には、労働者の個別同意が必要です。

正社員を採用したいが、採用後ミスマッチであることがわかった場合のリスクを回避したい

試用期間を設ける方法、期間雇用で当初採用する方法、紹介予定派遣を用いる方法などがあります。ただし、いずれも長所短所がありますので、会社の実情を弁護士に話し、いずれを採用するか判断することが必要です。

セクハラ・パワハラで会社が訴えられそうである

セクハラやパワハラが起きた場合、使用者責任、職場環境調整義務違反等を理由に会社が損害賠償責任を負う場合もあります。例えば、社外の勤務時間外でおきたトラブルであっても、会社は関係ない言い切れない場合もあります。弁護士に相談して対応を決めるべきです。

辞めた社員が社外の労働組合に加入して、その組合が団体交渉を申し入れてきた

辞めた社員が未払いの残業代や辞めたのは会社から強制されたものだといって、組合を通じて団体交渉を申し入れてきた場合も、会社は、団体交渉に応じなければなりません。しかも、誠実に団体交渉を行わないと不当労働行為として労働委員会に申し立てられたりすることがあります。しかし、会社は労働組合に譲歩する義務は負いません。ただ、交渉が決裂した場合は、会社の玄関先でのビラ配布など争議行為にさらされる可能性があります。このように団体交渉は商取引交渉とは異なりますので、弁護士に相談するなり、弁護士に交渉の代理を委任することが必要となります。

年俸制で、時間外賃金を払っていない

年俸制で時間外も含むと労働者と約束しているからというだけで、時間外手当を支払わなくてもいいとはなりません。年俸制を採用していても、基本給と時間外手当の部分の区別がなされ、時間外手当相当額部分を超過する時間外手当は支払うといった定めが必要です。具体的な定め方等については弁護士と相談して決めた方が安全です。

管理職の時間外手当を払っていない

管理職手当を支払っておけば、時間外手当の支払いをしないですむというものではありません。管理監督者といえるには、経営者との一体性が必要となります。管理監督者の範囲は、個別具体的判断なので、弁護士と相談して判断することが望まれます。

期間の定めのある雇用契約をしている社員の雇い止めをしたい

例えば、期間の定めるある雇用契約の社員であっても、客観的に雇用継続の期待が保護に値すると判断される場合には、合理的な理由がないと雇い止めが認められない場合があります。雇用継続の期待が保護に値する場合とは、個別具体的な事情から判断されるので、弁護士と相談する必要があります。

従業員が労働審判の申立をし会社に呼出状が届いたがどのようにすればいいのでしょうか

(1)労働審判手続きは、地方裁判所において、裁判官1名と専門家委員2名の合議体によって企業と個々の労働者間の個別労働紛争を処理する手続きです。(2)労働審判手続きは、原則として3回以内の手続きで審理を終えることになります。(3)労働審判手続きでは、調停成立による解決の見込みのあるときは、調停が試みられることになります。(4)調停が成立しないときは審判が下されます。(5)労働審判に、当事者から異議の申立があれば、労働審判は失効し、労働審判の申立のときにさかのぼって訴えの提起があっったものとみなされます。
労働審判の第1回期日は、申立がなされた日から40日以内にしなければならないとされています。しかし、申立書の相手方への送達までの日数や、答弁書の提出期限等がありますので、答弁書(申立書への反論)は実際上30日程度で作らなければなりません。しかも、第1回までに証拠の提出も要求され、第2回以降の期日では、原則として補充の主張や証拠の提出がほとんど認められません。従って、労働審判の申立書が届くと、できるだけ早く労働事件に詳しい弁護士に相談し事件に対応しなければいけません。

平成19年11月28日に労働契約法が成立したそうですが、内容の概略を教えてください

労働契約法の内容は、ほとんど今までの判例法理を踏襲するもので、実務的にみて新たなことが決まったとはいえません。しかし、判例法理では専門家以外の方(使用者・労働者)がわかりにくいので、それを明文化したことには意味があります。主要な条文を以下引用します。

<7条> 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。

<9条> 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

<10条> 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。

<12条> 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

<14条> 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。
 
<15条> 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

<16条> 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

<17条> 使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
2 使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

平成20年4月1日から改正パートタイム労働法が施行されるそうですが、パートタイム労働者とはなにをさすのでしょうか

「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「準社員」などの呼称にかかわらず、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者に比べて短い労働者を言います。


平成20年4月1日から施行される改正パートタイム労働法の概略を教えてください

(1)一定の労働条件について明示義務が追加されます。
・労働基準法では、パートタイム労働者を含めて、労働者を雇い入れる際には、以下の労働条件を明示することが義務付けられています。(違反の場合は30万円以下の罰金に処せられます。)
◆義務付けられている事項
労働契約期間 ・就業場所、従事する業務内容 ・労働時間(始業・終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇等) ・賃金(計算及び支払方法、賃金締切日、支払時期) ・退職(解雇事由含む)
・改正パートタイム労働法では、上記に加え、次の事項について文書交付等による明示が義務付けられます。(違反の場合は10万円以下の過料に処せられます。)
◆新たに明示が義務付けられる事項
昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無
(2)労働者の求めに応じて、待遇の決定に当たって考慮した事項を説明することが義務化されます。
・説明義務が課せられる事項:
労働条件の文書交付等、就業規則の作成手続、待遇の差別的取扱い禁止、賃金の決定方法、教育訓練の実施等、福利厚生施設の利用等、通常の労働者への転換推進のための措置
(3)パート労働者の働き方に応じて、均衡のとれた待遇の確保が求められます。
(a)「正社員と同視すべきパート労働者」(職務内容、人材活用の仕組みや運用などが通常の労働者と同じで、契約期間が実質的に無期契約となっている者)の待遇を差別的に取り扱うことが禁止されます。(ただし,( )で示した要件が厳格なのでこれに該当するパートは少ないと思われます。)
(b)(a)以外のパート労働者についても、その働き方に応じ、賃金、教育訓練、福利厚生について、通常の労働者との均衡を考慮することが求められています。
(4)正社員への転換を推進するため何らかの措置を講じることが義務化されます。例:正社員募集の際、パート労働者にもその募集内容を周知する。
正社員のポストを社内公募する際、パート労働者にも応募機会を与える。
パートから正社員への試験制度を設けるなどの転換制度を導入する。
(5)パート労働者からの苦情の申し出に対応することが求められます。苦情の申し出には事業所内での自主的解決に努めることが求められるほか、紛争解決援助の仕組みとして、都道府県労働局長による援助や紛争調整委員会による調停が設けられます。

パートタイム労働者の雇用管理改善のため、能力評価制度や資格制度、正社員への転換制度などを導入し、実績が出た場合、事業主や中小企業事業主団体向けの助成金制度が設けられています。
詳しくは(財)21世紀職業財団へ お問い合わせください。(http://www.jiwe.or.jp)


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